喫煙被害
タバコに含まれるニコチンは、神経伝達物質で、ニコチン性アセチルコリン受容体に作用することで、中枢神経のドパミン神経系、特に脳内報酬系を活性化する作用がるために、タバコを吸うと、一時的に快感や覚醒の感覚が得られる。ニコチンを外部から摂取しないと神経伝達が低下した状態となるので、自覚的にニコチンへの渇望が生じる。ニコチンのこの薬理作用は、覚せい剤などのほかの薬物と共通である。また、タバコの煙には、ニコチン以外にも活性酸素や数千種の有害化学物質が含まれ、その長期的な影響が医学分野で広く研究されている。各種疾病との因果関係が疫学的な調査や動物実験によって、喫煙が多くの疾病リスクを高めると証明した。すべての人は喫煙が健康によくないことであると分かっているが、タバコに対する依存はなかなか捨てられない。そのため、タバコによる健康被害の報告が多く出ている。
先日、世界肺臓基金会とアメリカ癌学会の癌専門家はある研究報告を発表して、全世界で来年になると喫煙で引き起こす癌、心臓病などの疾病で死亡する人の数は600万人に達するかもしれないと示した。報告書によると、“全世界の範囲内で、10人の死者のうち一人喫煙者である。今年の1年だけで、タバコは550万人の命を奪うかもしれない”と指摘して、もしこの状況は続くならば、2020年に喫煙で死亡する人数は700万人に達すると予想されて、2030年にこの数字は800万まで達するかもしれない。男性の喫煙者が肺癌で死亡する確率はたばこを吸わない人より23倍高い。女性の場合は13倍が高い。喫煙者の平均寿命は非喫煙者に比べて15年間短い。それ以外に、職場などの間接喫煙は、毎年20万の非喫煙者の健康に悪影響を及ぼす。20世紀に1億人は喫煙のために死んだ。もし有効な措置をとって、青少年がたばこを吸うことを防止して、喫煙者の禁煙に助けらなければ、21世紀にたばこで死に至る人の数は10億人に上る。
また、喫煙がもたらす医療支出の高まり、生産効率の低下と環境破壊などの直接損失は毎年5000億ドルで、全世界の国内総生産の3.6%に相当する。過去40年間、米国、イギリス、日本などの先進国は喫煙者の数が下がったが、発展途上国の喫煙者は大幅に増加している。